意外と知らない冬に(寒いと)風邪をひく理由




今もって風邪に関して未解明なことが多い

 「冬に風邪が流行するのは、低温により鼻の中の免疫低下するのが原因」とする論文が、2022年11月に米国から発表されました。意外に思われるかもしれませんが、「湿度が低いとインフルエンザ感染に対するバリア機能と生来の抵抗力が損なわれる」といった、先の論文同様、半ば当たり前と思われていることも、科学的な検証のもとで論文として発表されたのは2018年のことです。「風邪に効く薬を発明出来ればノーベル賞」という話は聞いたことがあるかと思いますが、今もって風邪に関して未解明なことが多いことが良く分かります

 ところで、新型コロナは季節に関わらずに感染の波が起こるので、「感染の広がりと温度・湿度との関係がないのでは」と思われるかもしれませんが、「感染の広がりと温度・湿度に関係性がみられること」が2020年に、レビュー基準を満たす17件の研究結果を調査した結果を基に報告されています。

 以上は、「寒くなると風邪をひく理由」に関する情報ですが、「寒く感じると風邪をひく」と思われたことはありませんか。同じ寒い環境下でも、それを「寒く感じる人」と「寒く感じない人」がいて、後者は薄着でも風邪をひかないのに対し、前者は厚着でも寒いと感じれば風邪をひくといった具合です。これは、寒く感じるとそれがストレスとなって自律神経を乱して免疫力が低下することが原因と思われます。

風邪をひかないために

 これらを踏まえると、まず、マスクをすることにより、「ウイルスが体内へ流入する量を減らす」だけでなく、「鼻腔内の温度・湿度を下げない」ことで風邪をひく可能性を低下出来そうです。今の時代であれば、外では皆、マスクをしているので大丈夫ですね。一方、就寝中は部屋の温度や湿度にもよりますが、(熟睡出来るなら、マスク[特に濡れマスク]を着けて就寝するのが一番ですが)マウステーピング(他項「マウステーピング(口テープ)参照)で十分だと思います。

 また、「寒く感じたとき」に、それが精神的ストレスとならないように直ぐに対処することも重要です。寒さを我慢しないで、「直ぐに重ね着をする」、「カイロを貼る」等、書くのが憚られる様な基本的なことです。さらに、寒いと思ったら直ぐに「手の親指と人差し指の骨の間のツボ(合谷)を押す」、及び「葛根湯(他項「補中益気湯、葛根湯(漢方薬)参照)を飲む」といったことも、それ自体の体への作用だけでなく、「自分は直ぐに対処した」という安心感が精神的ストレスを下げて自律神経を安定化すると考えます。

 今、非常に興味があるのが、「プロ野球の選手(特に外野手)が寒い雨でずぶ濡れになっても平気な理由(連日、試合でも)」です。例えばサッカーのように運動量が激しければ、まだ理解出来るのですが・・・。守備が終わったら直ぐに着替える等の工夫をしているとは思うのですが、それでも自分だったら絶対に風邪をひくだろうと思われる寒い日の雨でも、翌日に誰も休むことなく普通にプレーするのを見て驚きます。風邪をひいて欠場って余り聞かないですよね。ということは、多くの人に有効な風邪の防御方法の鍵があるのではないかと思っています。