ホルモン年齢ドックとは?
「ホルモン年齢ドック」と聞いてもイメージが湧かないかもしれません。私も、つい最近までは 聞いたことさえありませんでしたが、以下の本を読んで興味を持ち、この検査を受けてみることにしました。
ここでいう「ホルモン」とは、副腎皮質で産生されるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)というもので、男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストラジオール)など約50種類ものホルモンに転換される源流のホルモンであり、米国では「ホルモンの母(マザーホルモン)」と呼ばれているホルモンのことです。具体的には、抗ストレス、免疫力アップ、がん抑制、細胞再生、筋肉強化、記憶力増大、生殖能力アップ、うつ予防、肥満予防、等々と いろいろな作用が知られています。
そして、驚くことに(当たり前でもあるのですが・・・)加齢とともに激減し、私の年齢(62歳)では血中DHEA量はホルモン量のピークを迎える20歳代の半分以下にまで低下します。一方で個人差も大きいことから(下図の赤破線から分かるように、約60歳でも300~3000 μg/Lの幅がある)、DHEA量は自分の体内年齢を知ることが出来るという点で非常に興味深い指標と思われます。
ところで、DHEAは血中では90%以上がDHEA-S(DHEAの代謝産物)の形で存在します。「ホルモン年齢ドック」では、DHEA-S以外にIGF-I (インスリン様成長因子1)および コルチゾールも測定します。
コルチゾールはストレスに対して血糖値や血圧を上げるホルモンですが、大量の活性酸素も発生し身体(細胞)を傷つけます。一方でDHEAは急激に上がったコルチゾールレベルを元の状態に戻すように働きかけます。
コルチゾール、DHEAは副腎で作られる
これらふたつのホルモンは副腎で作られ分泌されます。副腎は腎臓の上にちょこんと乗った小さな臓器で、重さは3 g程度しかありません。たまたま腎臓の近くにあるので 日本では「副腎」と命名されましたが、英語名は「アドレナル・グランド(アドレナリンの分泌器官)」と言います。さまざまなストレスに曝され続けると著しく機能が低下してしまうことがあり、この状態は「副腎疲労症候群」として知られています。
ホルモン年齢ドック受検とその結果
「ホルモン年齢ドック」は 現在 (株)プリメディカのみが実施しています。したがって、PreMedica HP中の「受検可能施設検査一覧」から近くの病院を検索することになります。ただし、東京でさえ15か所しかないので、まだまだ一般的ではないことが分かります。
私の住む京都には2か所しかありませんが、たまたま昨年 健康診断を受けた病院で実施していることが分かり、今回の健康健診の際にオプションとして実施する運びとなりました。具体的には、採血の試験官が1本増えるだけです。値段は13,200円と それなりに高額です。
結果は以下の表がすべてです。1年半前から始めた週1回恒例の山登りも50回を迎え、最近では始めた頃よりも疲れが早くとれるようになっていたので、封筒を開けるまでは少なくとも50代、あわよくば40代という結果が得られて、一緒に本ドックを受けた妻に自慢する気でいました。ところが・・・です。
分かりました。自分が良い結果(若い体内年齢が得られる)が得られることを期待して受検していたことを・・・。妻に聞いてみると、やはり私同様に良い結果を期待していたようですが、結果は悪かったようです(名誉のために結果は載せません)。
もうお気づきかもしれません。この検査のメリットは良い結果が得られれば、自分の生活習慣に自信を持つことが出来て非常に良い気分になれることです。一方、デメリットは、悪い結果が得られても「腸内フローラ検査」のようには改善が見込めず(DHEA量は増やせない)、「現在のDHEA量をいかに減らさないか」ということのみが出来ることなので、私のように実年齢よりもかけ離れて高齢と判定された場合には気分的に非常に落ち込みます。
まとめ
私のように健康情報の収集に敏感になっていると、いろいろな「検査」が気になります。このブログでも これまでに「遺伝子検査」、「腸内フローラ検査」、「血中ビタミンD濃度検査」、「尿1滴のがん検査」、「血糖値モニタリング」をご紹介し、「尿1滴のがん検査」以外の検査はすべて受検しました。ちなみに「尿1滴のがん検査」を受検しない方が良いと判断した理由は 投稿「がん と診断された時にどう行動しますか?」をご覧下さい。そして、これらの検査を受検して本当に良かったと思っています。それは、仮に結果が悪くても 改善出来る可能性があるからだといえます。
一方で「ホルモン年齢ドック」は、悪い結果(実年齢よりもかけ離れて高齢と判定された場合)であった場合に「改善は困難で、今以上に悪くならないようにする」という対処法しかないことが最大の問題です(注:「副腎疲労症候群」に相当するような極端に低いDHEA量の場合にはDHEA補充療法があるようです)。
ということで、「ホルモン年齢ドック」はお勧めしません。同様な理由で「テロメア長の検査」もお勧めしません。カタログには「健康への第一歩は “知る” ことから」とありますが、改善が出来ないのであれば、知らない方が良い場合もあると私は考えます。