健康のための運動とは
東洋医学では、「養生」という概念があります。心と体のバランスがとれた状態を保つために日常生活を健康に暮らす知恵であり、「運動」は「食事」及び「睡眠」などとともに「養生」の一つです。厚生労働省が「健康づくりのための身体活動基準2013」を発表しています。ちなみに、身体活動の強度(安静時の何倍に相当するか)を「メッツ」、身体活動の量(メッツ x 時間)を「エクササイズ」で表します(健康づくりのための運動指針2006[厚生労働省])。
上述のような「身体活動・運動」が健康に必要なことは分かっていても、家にいる時間が長いと目標の達成が難しいことを、私も定年退職後に実感しました。最近では、在宅ワーク等の普及により、同様の状況の方も多いのではないでしょうか。
お勧めの運動①_ゆる体操(膝コゾ)
家で仕事をするようになると、ジムへ行くのは言うに及ばずウォーキングの習慣でさえ、「今日は雨だから」、「今日は寒いから」と理由をつけてしまい、継続するのが意外と難しいのではないでしょうか。簡単で効果が期待出来る運動はないものかと探されている方も多いことでしょう。ここでは、自信をもってお勧め出来る運動を2つ紹介します。私自身が長年、簡単で効果が期待出来る運動を探してきた結果、たどり着きました。ちなみに、「ゆる体操」とは10年以上のお付き合いです。
1つ目は、「ゆる体操_膝コゾ」です。「ゆる体操」は、東京大学・大学院を卒業した運動科学総合研究所所長 高岡英夫 氏が開発し2002年に公開した体操で、「世界一ラクで簡単で深い効果を持つ体操」との評価を受けています。高岡氏は幼少時から古流武術を伝承した父親から武術指導を受け、古今東西の運動法や動物(特に魚類)の運動能力を研究し、誰でも効率よく習得可能な「ゆる体操」を開発しました。トップアスリート・舞踊家・音楽家・俳優・医者・大学教授・会社経営者・国会議員に「ゆる体操」を指導すると同時に、100冊以上の著書があるので、名前を目にした方もあるかもしれません。「ゆる体操」は、2015年までは協会公認の指導員しか指導出来なかったのですが、2015年以降は全面的にオープン化され、「ゆる体操の方法」も協会のホームぺージから学ぶことが出来るようになりました。
数ある「ゆる体操」の中に「究極のローコスト・ハイリターン体操」と高岡氏が謳う「寝ゆる黄金の3点セット」という、寝たまま出来る3つの「ゆる体操」があります。就寝前に実施すればよいので、「今日は体操をし忘れた」がなくなります。実施方法は以下の1~2分の動画《腰モゾ(動画)、すねプラ(動画)、膝コゾ(動画)》をご覧下さい。また、このように簡単で一見何に効くのか分からないような体操が、なぜ大きな効果をもたらすのかに関する解説《腰モゾ、すねプラ、膝コゾ》を読んでから実施する方がより効果的と考えられます。なお、この3つの中で運動の中から、さらに一つに絞るとすれば「膝コゾ」が究極の体操となります。この体操で、通常であればかなり鍛練的にやらないと鍛えられない大腰筋が簡単に鍛えられます。「大腰筋」は、何年か前からよく見聞きするワードですが、その鍛練はトップアスリートに必要なだけでなく、ダイエットに、また高齢者の転倒防止に特に必要なことが分かっています。
お勧めの運動②_5秒ひざ裏のばし(壁ドン)
二つ目は、「5秒ひざ裏のばし」です。「5秒ひざ裏のばし」は、医学博士 川村明 先生が開発した、医療や介護予防にヨガの手法を取り入れた運動で、ひざ裏をのばす3つのポーズ(壁ドン、壁ピタ、ワン・ツー・スリー体操)を理想的には各1分づつ計3分、出来なければ5秒づつ計15秒実施するだけでも効果が期待できるという簡単に短時間で実施できる運動です。「お湯を沸かしている間に実施する」と決めるだけでも、一日に何回も実施することが出来る優れものです。この体操の要となる「壁ドン(壁に両手をついて、ひざ裏をぐーんとのばすストレッチ)」は、川村先生ご自身が出演されているYou Tubeでそのやり方を確認することが出来ます。
川村先生は、ご自身のヘルニア、アトピー、及び大腸ポリープをヨガを通して克服した体験から、ヨガを誰にでも簡単に短時間に出来るようにアレンジしました。ヨガでは常に「ひざ裏をのばして」と言われ、ひざ裏の重要性に気づいたことが「5秒ひざ裏のばし」開発の契機となったそうです。「壁ドン」を試すと、ひざ裏をのばすのが非常に気持ちの良いことが分かります。また、先述のYou Tubeにあるように、「かわむらヨガメソッド」教室に通われる高齢者のお元気そうな姿に、この運動の効果がただならぬものであることを感じられることでしょう。その効果は、全身の様々な不調の改善に及ぶそうです。
まとめ(コスト計算を含む)
定期的な運動習慣があれば何の問題もないのですが、昨今、家から外に出ない生活を続けている方も多いのではないでしょうか。そうすると、何も意識しないと1日の歩数が2000歩以下に成り兼ねません。そこで、簡単で気持ちの良い運動があれば習慣化が容易です。
そのような運動として「ゆる体操(特に膝コゾ)」と「5秒ひざ裏のばし(特に壁ドン)」を推奨します。共に心肺機能を高めることは難しいと思われますが、全身のバランスを整える点に関しては、非常に優れていると言えるでしょう。コストは当然ゼロです。そして、「やる気」も他の運動に比べて非常に低くても継続が可能です(私の経験上)。是非、お試しを!