先進医療として認可された水素吸引を月額4950円で始めました


 

医療分野で使用される水素吸引

 「水素水」や「水素吸引」と聞いて、「何か怪しい」と思う方が大半ではないかと思います。実は私もそうでした。私が「水素の効果」に関して調べてみようと思ったのは、2023年7月に羽鳥慎一モーニングショー(テレビ朝日)で放送された内容がきっかけです。2023年3月には、おはよう日本(NHK)でも放送されていたことが分かりました。

 その内容は慶応義塾大学病院が2023年3月に論文発表した「心停止で救急搬送され意識が回復しない患者73人を対象に、2%の水素を含む酸素投与の効果を調べる二重盲検無作為化比較試験の結果、90日後の生存率は通常の酸素を投与した患者では61%に対して水素を含む酸素を投与した患者では85%、また後遺症なく回復した人の割合は通常の酸素を投与した患者では21%に対して水素を含む酸素を投与した患者では46%」という内容です。2016年に水素ガス吸引療法は世界に先駆けて厚生労働省により先進医療Bとして認可されて臨床試験が実施されましたが、COVID-19の蔓延に伴い予定症例数(360例)に達することが困難と判断され、2022年3月に取り下げられています。それなのに今、話題になっているのは、予定症例数には達しなかったものの、患者73人を対象にした上述の結果が2023年3月に論文として発表されたからです。

 

水素吸引が効く理由

 それでは、どのようなメカニズムでこのような効果が得られるのでしょうか?血流が一時停止した組織に再度血流が流れる時に大量の活性酸素が発生して組織に障害(再灌流障害)を与えますが、水素を吸引することで活性酸素が水素と反応して水になり(無毒化し)再灌流障害を抑えるからと考えられます。この療法の安全性・有効性が科学的に証明されれば、数年後には広く提供可能な画期的治療となる可能性があると言われています。

 活性酸素が関与する疾患が非常に多い(以下表)こと、及び活性酸素と疲労や老化の関係も明らかとなってきていることからも、「水素吸引で活性酸素を低減できるのであれば、健康に役立つに違いない」と多くの方が思われるのではないでしょうか。また、投稿「新型コロナ後遺症」には、上咽頭の炎症を抑えるBスポット療法が効果的なことを記載しましたが、水素吸引で上咽頭の炎症を抑えることも期待されます。


化学と生物 Vol.30, No.3より

水素吸引の副作用は?

 「活性酸素は細菌やウイルスの撃退といった人体にとって有益な働きもしているので、水素吸引で活性酸素を除去してしまうと副作用があるのでは」と思われた方もいるでしょう。実際に、「がんを予防するとされる抗酸化作用があるβカロテン、ビタミンA、ビタミンEをサプリメントとして常用している人はがんになり易い」という論文が2007年に発表されています。これらサプリメントが人体にとって有益な働きをしている活性酸素までも消去してしまい、その結果、がん細胞の増殖を許してしまうことが原因の一つと考えられています。しかし、幸いなことに水素は活性酸素の中でも最も反応性が高く有害なヒドロキシラジカルを選択的に消去する(他の活性酸素種とは反応しない)ことを日本医科大学の太田成男 教授が2007年にNature Medicine(非常に権威のある学術誌の一つ)に発表しています。この論文は、水素の生物学・医学的研究が世界中で行われるきっかけとなった研究としても知られています。 

そもそも水素とは

 ここまで読んでも、水素吸引に不安を感じる方もおられるでしょう。そこで、「水素」とは何かを改めて確認します。化学の勉強で元素の周期表を分子量が小さい順に「スイ、ヘー、リー、べ、・・・」という語呂合わせで覚えたと思いますが、「スイ」が水素のことです。したがって、水素(H2)は分子量が「最も小さく」、そして「最も拡散し易い」気体ということです。ですから、「水素吸引」で体内に入った水素は肺から血流にのって全身を巡り、あっという間に全身の細胞に到達します

 水素は通常、水(H2O)やメタン(CH4)のように他の元素との化合物として存在し、宇宙で最も多く存在する元素ですが、大気中には水素分子(H2)として約0.00005%存在するのみです。したがって、「水素吸引機器で発生する水素濃度が通常2%以上と聞けば、体にとって大過剰では?」と不安に思われるかもしれませんが、上述の水素の性質上、余分な水素は呼気として速やかに排出されるので心配はありません。なお、成人8名を対象とした2.4%水素ガス(15 L/分)の24~72時間吸引において有害事象は認められなかったことが2021年に論文になっています。

 

詳しく知りたい方にお勧めの本

 上述したたように「水素ガス吸引療法」は、慶応義塾大学病院(佐野元昭 医師)が中心となって進めている再灌流障害に対する治療法ですが、日常生活に「水素吸引」を取り入れることをご自身のクリニックで実践され、その経験も踏まえて2023年に本を出版されたのが医師 宮川路子 先生です。執筆に2年間かけられたそうで、非常に内容の濃い一冊です。

 先生は慶応義塾大学医学部を卒業され、現在、法政大学教授、及び下北沢西口クリニック院長をされています。私は、先生のブログを読んで信頼できると判断し、先生ご自身 2年間使用経験があるという機器をレンタルし「水素吸引」を始めました。

水素吸引の感想

 宮川先生のクリニックでは、様々な疾患、及び抗がん剤治療における副作用の軽減を主な目的として水素吸引を実施されていますが、私の場合は健康状態が悪いから使用するわけではありません。上述の本にも、「水素は健康状態が悪い人ほど効果がはっきりわかり、健康状態が良い人は実感しにくい」とありますが、まだ初めて間もないことも合わさり、これといった実感はありません。血流が改善され、冷え性に効果的ということなので、そのあたりがこの冬に改善されることをまずは期待しています。長期的には認知症を含め、活性酸素が関与する様々な疾患の予防や疲労回復、アンチエイジングにも期待しています。

 ということで、どちらかというと将来も健康でいられるための保険的な意味合いで私は使いはじめました。これは、他項で紹介したリポポリサッカライド(LPS)と同様です。自分が「これ」を利用しているという安心感は何物にも代えがたく、しかもレンタル代金(4950円/月)は機器が30万円(購入も出来ます)であることを考えると、かなりお得な設定だと感じます。 
 妻も上述の本を読み、水素吸引を開始しました。効果が表れたら改めてお知らせしたいと思います。