白湯(さゆ)はアーユルヴェーダ抜きで作りませんか?



白湯ブーム

 最近、自然食の店で外食する機会が2度あったのですが、どちらのお店でもお茶ではなく「白湯」が出ました。自然食を売りとした食堂には時々行くのですが、「白湯」が出るのは初めての経験でした。また、2022年11月にアサヒ飲料から、ペットボトル商品として「白湯」が発売されました。そんなこともあって、改めて「白湯」について考えてみることにしました。


 「白湯」が健康に良いことが広く知られるようになったのは、2010年に医学博士・蓮村 誠さんの本が出版された頃からだったと思います。「伊藤園」は、それより4年も早い2007年に「あたたかい天然水」という商品を発売しましたが、2シーズンで販売は終了したようです。

 アーユルヴェーダ(五千年の歴史をもつインド・スリランカ発祥の伝統医療)において、「白湯」は最強の栄養ドリンクと言われています。それは、「白湯」を飲むことで体によいことが沢山期待出来るからです。例えば、①消化の向上、②便秘の解消、③基礎代謝の向上、④デトックス効果。⑤美肌効果、等々です。

 「お湯」を飲むことにより体が温まり、内臓機能や血液循環が向上して身体に良いことは、感覚的に非常に分かり易いことです。しかしアーユルヴェーダ的には、電気ケトルや電子レンジで作った「お湯」は「白湯」ではありません。アーユルヴェーダに忠実に「白湯」を作るのは結構大変で、よほど心と時間に余裕があって丁寧な暮らしを心掛けている人以外は、長続きしないでしょう。

白湯の作り方・飲み方
① やかん(または鍋)に水(水道水で良い)を入れ、強火にかける(直火が重要で、火[ピッタ]の質を入れる)。その際に、換気扇を回す(風[ヴァータ]の質を入れる)
② 沸騰しはじめたら蓋をとり、大きな泡が立つくらいの火加減にして10分以上沸かし続ける
③ 火を止めてコップに白湯を入れ、50℃~65℃(フーフーしないと飲めない温度)まで冷ましてすするように飲む

 いかがでしょうか。仮に心に余裕があったとしても、いざ「白湯」を飲む習慣を続けるとなると、ためらわれるのではないでしょうか。私が上述の本を手にして白湯の作り方を読んだときに、「白湯が体に良いであろうことは分かるけれど、何か非科学的だなぁ」という感想をもったことを思い出します。 


とりあえず「お湯(白湯もどき)」を飲もう

 広辞苑には、「白湯」は「何も混ぜない湯」と載っています。また、先述の「ペットボトル商品の白湯」もミネラルウォーターを温めたもので、アーユルヴェーダに基づいて作ったものではないでしょう。ちなみに、自分で「お湯(白湯もどき)」を作るとしたら、水道水ではなく、きっとミネラルウォーターを沸かすでしょう。そうすると、「アーユルヴェーダに基づいて水道水を直火で10分以上沸かした白湯」と「ミネラルウォーターを電気ケトルで1~2分で沸かしたお湯(白湯もどき)」のどちらが体にとって良いか(飲みたいか)という二者択一になります。アーユルヴェーダ的な意味での「白湯」を知らない人にアンケートをとれば、きっとミネラルウォーターで作る「お湯(白湯もどき)」を選ぶ人が多いでしょう。そして、その人間の持つ(そちらが飲みたいという)感覚は結構正しいような気がします。

 ということで、アーユルヴェーダ的な「白湯」を作るのが面倒で長く続けることが出来ないのであれば、「電気ケトルでミネラルウォーターを 1~2分で沸かしたもの」を「お湯(白湯もどき)」として続けてみませんか